FILE NO 545 宮崎と周辺の植物
イワガネ Villebrunea frutescens (Thunb.) BL.
岩ガ根 イラクサ科
撮影日 2006.1.28
撮影場所 宮崎市

 四国、九州から、中国、ヒマラヤに分布するようだが、何かに役立つ樹とも、また花も実も小さくて飾るほどのものとも思えない。
 ただ冬になって葉の落ちた枝に、一見貝殻虫がついたように見える果実は奇妙でかなり変わっている。
 イワガネ(岩ガ根)は、牧野図鑑にこの樹がしばしば岩石の近くに生えるので、和歌山県ではこう言うと書かれているが、他の説が見当たらないのもこの分布域の狭さからすると頷ける。
画像1 雌雄異株の落葉低木、薄暗い樹林下で変則的に枝分かれして、
ハドノキのようにまとまった樹形にならない。高さは2mほど。
果実の周囲の白い花被が何のために膨らんでいるのかは不明。
間違えやすい樹にハドノキ、それとイワガネとの雑種ハドイワガネがある。
画像2 無柄の果序は、12月〜2月に白い肉質状の花被に護られた
        黒っぽい果実をかたまってつける。撮影:(2006.1.28 宮崎市) 
画像3 雄花は5月ごろ、葉の展開と同時に、柄のない花序にぎっしりとかたまって咲く。
 花被片とオシベは同数で、この画像では大き開いた3個のオシベが見える。 
撮影:(2005.4.9 小林市)
画像4 横から見た花、3個の白いオシベが開いている。撮影:(2005.4.9 小林市) 画像5 雌花序、直径3ミリほどの雌花は柱頭の縁の毛が目だつ。撮影:(2006.4.8 宮崎市)
画像6 果実は白く肉質化した直径2ミリほどの花被に埋まっている。白い花被は水分を含み無味無臭、噛むとサクサクとした歯ごたえがある。
撮影:(2006.1.28 宮崎市)
画像7 ルーペで見るとやや緑色がかった黒っぽい果実は長さ1ミリ強の先の尖った卵形、尖った先の部分はやや白く見える。
撮影:(2006.1.28 宮崎市)
画像8 互生する葉は長さ5〜10cm、上面には荒い毛があって触るとざらざらしすぐに分かる。
撮影:(2006.1.15 宮崎市)
画像9 葉柄は長さがさまざまで、長いものは10m以上にもなる。葉柄の毛は多少がある。
撮影:(2006.1.21 野尻町)
画像10 葉の下面は白い毛が密生して白く見えるので、よく似たハドノキとの見分けになる。
撮影:(2006.1.21 野尻町)
画像11 葉下面。大きな網目の脈、白い綿状の毛と脈上の毛、、鋸歯ははっきりと先が尖る。
撮影:(2006.1.21 野尻町)
画像12 参考:間違いやすいハドノキの毛のない葉と葉柄。
撮影:(2006.1.21 野尻町)
画像13 参考:ハドノキの葉下面。無毛で細脈の網目が見え、鋸歯の先は丸い。
撮影:(2006.1.28 宮崎市)
画像14 幹は褐色で樹皮は皮目が目だつ。
撮影:(2006.1.21 野尻町)
画像15 参考:ハドノキの果実。果序には柄がある。撮影:(2006.1.15 宮崎市)
画像16 葉下面の色。左がイワガネ、右がハドノキ。撮影:(2006.1.22 宮崎市) 画像17 少し緩んだ頂芽、毛の多いのが目だつ。撮影:(2006.1.21 小林市)
画像18 別名カワシロは繊維皮が白いからという。確かに白いが、枝はボキボキ折れて繊維は取れそうにない。撮影:(2006.1.28 宮崎市) 画像19 参考:ハドノキを左と同じように折ったもの。やはり繊維状にはならない。色は通常の樹皮内側と同じ。撮影:(2006.1.28 宮崎市)
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