FILE NO 651 宮崎と周辺の植物
キンチャクアオイ Heterotropa hexaloba (F.Maek.) F.Mael. var. perfecta F.Maek.
巾着葵 ウマノスズクサ科
撮影日 2010.4.18
撮影場所 県央

 
中国地方南部と四国及び九州中北部に分布するサンヨウアオイの変種とされるキンチャクアオイは、福岡県南部〜熊本・鹿児島県と、宮崎県の延岡市五ヶ瀬川以南にあると言われるが、両者の区別は外見だけでは判別できないという。(宮崎を代表する植物─(2)・カンアオイの仲間 南谷忠志氏 みやざきの自然第7号(1993年 鉱脈社発行))から) 
 これらの学名に頻繁に出てくる、F.Meakは、地理分布と進化の関係を研究した前川文夫博士のことを指す。
 カンアオイというこの特異な植物の種子頒布力が小さいが故に特有の種が狭い地域で独自の進化を遂げて現在の形になった話は、素人にも想像が働いて楽しい。
画像1 照葉樹の急傾斜林床に散らばった落ち葉や砂礫に紛れそうな色、目立つ花弁もなくおよそ花らしくない形でさらに下向きに咲く特異な花。   県内に多いこの仲間はキンチャクアオイとマルミカンアオイ
画像2 根際から出た短い花柄が湾曲して、殆ど地面に着くほどの位置に花をつける。
 撮影:(2005.5.8 県央)
画像3 一度地際から立ち上がった花柄は大きく曲がって下向きになり枯葉の積もった
    地面に接するように下向きに花をつける。ガク先は3裂片になりうねって開く。
撮影:(2005.5.8 県央)
画像4 花は花弁が退化し、ガク筒は伏せた茶椀状で先が紐で縛ったように括れ、先端部のガク片が波打つようにうねって開出する。 撮影:(2009.4.18 県央) 画像5 曲がった花柄は長さ約2cm、ガク筒の先は6つの浅い仕切り溝ができて括れる。先端で広がったガク裂片は複雑にうねる。撮影:(2010.4.18 県央)
画像6 ガク筒上半部を取り除くとオシベ12個、内側に並んだメシベ花柱6個が見える。よく似たサンヨウアオイで見えるオシベは6個。 撮影:(2005.5.8 県南) 画像7 直径1cmほどのガク筒内部を真上から見た画像。中心付近のメシベ花柱の先は小さな白い楕円状の柱頭になる。 撮影:(2009.6.6 県央)
画像8 メシベ花柱上部と柱頭の形は種の見分けに重要。メシベ花柱はマルミカンアオイとはかなり違う。   撮影:(2009.6.6 県央) 画像9 花柄には小さな赤紫色の斑点があり、断続的な筋模様となる。 ガク筒内壁には格子模様がある。  撮影:(2005.1.2 県央)
画像10 短い茎の節から出た2枚の鱗片葉に包まれた形の蕾。 撮影:(2005.1.2 県央) 画像11 葉は基部が深く切れ込んで丸まった緑色卵形だが変化が多い。 撮影:(2009.4.18 県央)
画像12 下面は無毛で光沢があって柔らかく。長さも変化するが12cmになる。 撮影:(2009.4.18 県央) 画像13 上面に雲状模様がある葉も多く、その形色にも多くの変化がある。 撮影:(2010.4.18 県央)
画像14 葉の縁は目立たないほどの小さな鋸歯があり、寝た短毛がある。 撮影:(2010.4.18 県央) 画像15 葉柄は無毛で長さ14cmほどになる。茎にはつく葉は多くて2〜3枚。 撮影:(2010.4.18 県央)
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