FILE NO 718 宮崎と周辺の植物
コバノイシカグマ Dennstaedtia scabra (Wall.ex Hook.) Moore
小葉の石かぐま コバノイシカグマ科
撮影日 2017.12.28
撮影場所 都農

 本州の秋田県以南、四国、九州鹿児島県屋久島までと、台湾、朝鮮~中国中南部~インドシナ半島一帯に分布するという常緑性(温帯では夏緑性)のシダで、宮崎の平地では各地に自生するがやや稀な部類に属するシダだった。
  学名「cabra」はざらざらしたの意味で落毛後の葉柄を表すと思われる。
 
イシカグマとは同じコバノイシカグマ科ではあるが属が異なりソーラスのつき方も違っている。
 近年、野生動物の食害が大きな問題となっているが、このコバノイシカグマはシカが食べないので(忌避)、食害の著しい場所では群落となって目立つ。 
画像1 浅い山の水場から離れた崖下道脇に他のシダと並んで群生。 参考(画像16):忌避が見える風景
 画像2 葉身部全体は三角状長楕円形で3回羽状複葉、長さ約20cm。
撮影:(2017.12.2 都農町)
 
画像3 葉柄も含めた全形、葉柄部は長さ約40cmほどもある。
撮影:(2017.12.2 都農町) 
画像4 羽片表側。黄緑色でやや硬い感じ、最下羽片の長さ10cmほど。 撮影:(2017.12.2 都農町)  画像5 羽片の表面。葉柄にも羽軸や小羽軸にも浅い溝がある。。 撮影:(2017.12.2 都農町) 
画像6 羽片の下面。それぞれの小羽片の縁は下面側に反る傾向あり、枯れたら下面側に巻き縮んで行く。 撮影:(2017.12.2 都農町)  画像7 ソーラス(胞子嚢)がついた羽片下面。繁殖は胞子と根茎によるという。
撮影:(2017.12.2 都農町) 
画像8 ソーラスはごく小さくてよく見るためにはルーペが必要となる。
 ソーラスは葉脈の先端に一個がコップ状について無毛
撮影:(2017.12.2 都農町) 
 
画像9 ソーラスの拡大画像。葉脈の先端が丸く窪みとなってソーラスを容れる。
撮影:(2017.12.2 都農町) 
 
 
画像10 葉の表面の拡大画像、立った粗い毛が目立つ。 撮影:(2017.12.2 都農町)    画像11 葉の下(裏)の拡大画像で、疎らな毛が見える(参照:画像8画像,9)。撮影:(2017.12.2 都農町) 
画像12 葉軸と羽軸に生えた白く粗い毛。 撮影:(2017.12.2 都農町) 
 
画像13 葉柄は細く赤褐色でやや粗い毛が多く生える。毛は少し撚れて縮れた感じがする。
撮影:(2017.12.2 都農町) 
  画像14 葉が成熟して毛が落ちたあとの葉柄で、毛の基部だけが残り、手で触るとざらつく。
撮影:(2017.12.2 都農町) 
画像15 根茎は横に長く伸びて葉を出す。
撮影:(2017.12.2 都農町) 
画像16  大崩山系のブナ帯で撮影したシカによる食害の風景。広範囲に食い荒らされて
     樹木が消えた傾斜地で僅か緑色を保ち土砂を保持しているのは、やはり忌避
    植物である低木の
アセビと地面を一部覆ったコバノイシカグマの群落だけ。
(画像提供:宮崎植物研究会:赤木康氏)
撮影:(2015.5.27 大崩山系) 
 
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