FILE NO 507 宮崎と周辺の植物
サツマサンキライ Smilax bracteata Presl.
薩摩山帰来 ユリ科
撮影日 2005.1.18
撮影場所 宮崎市青島

 九州から南の、琉球、台湾、ミクロネシアまで分布..。太平洋側では宮崎の青島が北限となっているようで、宮崎では潮風のあたる海岸林の中に自生している。
  サツマサンキライは、ユリ科のサンキライの仲間で鹿児島で見かけるものという意味だろうが、サンキライは図鑑等ではサルトリイバラ(猿捕茨)の名で載っているのでややこしい。
  サルトリイバラは、天平5年(西暦733年)に勘造された出雲風土記にも(漢名ではあるが)出てくるほど昔から知られた蔓植物のようで、各地でも多くの名前で呼ばれている。
 宮崎でも「かから」を始め呼び名は多い。かからは「かからん」で、触らないという意らしい。
 属名の「Smilax」は常緑のカシのギリシャ古名から来ているそうで、葉の形や模様が似ているということらしいが、そういわれれば葉面を縦に走る明らかな5つの脈や大きくて硬い艶のある葉は、雰囲気が似ているように思える。
 サルトリイバラが(猿も引っかかるほど)鋭い棘が多いのに対し、サツマサンキライの棘は疎らなので、蔓が茂った藪の中を通りやすいことも違いの1つと実感できる。 
画像1 高い枝から垂れ下がって独特の色模様の蕾をつけた株。撮影:(2005.1.18 青島) サルトリイバラ類の中で花が1〜2月に咲くのは、このサツマサンキライだけである。
画像2 ビロウの幹をフウトウカズラと競争しながらよじ登っている蔓。撮影:(2005.2.26 青島) 画像3 葉腋から出た枝から、さらに分枝してついた2個の散形花序。撮影:(2005.2.26 青島)
画像4 4.5cmほどの花柄の先に球状に集まった直径4〜5cmほどの花序(雄花)は、赤い小花柄と薄黄色の花のボールだが、大きな葉の陰で目立たない。撮影:(2005.1.18 青島) 画像5 雄花。小花柄は7ミリほどの長さ、花被片は外側に大きく反り返り(外片3個は長楕円形で長さ約5ミリ、内片3個は披針形で長さ3ミリほど)、オシベ6個は長短があって5ミリ以下の長さ。
撮影:(2005.3.12 青島)
画像6 葉の下面の脈、内側に巻き込んだ先端の尖り方、葉柄から伸びる左右の巻きひげの様子。
撮影:(2005.1.18 青島)
画像7 花の後、できたばかりの小さな果実。長さはまだ3ミリほどでマッチの軸頭のような形をしているが、後では黒く熟す。撮影:(2005.3.12 青島)
画像8 葉の上面。この葉は長さ約16cm、幅12cmほどあり、葉は長楕円形〜楕円形だが、古い葉は先が丸くなって円形に見える傾向がある。
撮影:(2005.3.12 青島)
画像9 葉の下面。上下面とも厚くて光沢がある。
3〜5本の大きな脈がはっきりと浮き出て先端に達する。撮影:(2005.3.12 青島)
画像10 長い巻きひげは硬くてしっかりしており、巻きひげを引っ張っても簡単には緩まない。棘は疎らに出る。撮影:(2005.2.26 青島) 画像11 巻きひげは、葉柄つけ根の托葉らしき部分の先端から左右に分かれて2本出る。
撮影:(2005.2.26 青島)
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