FILE NO 281 宮崎と周辺の植物
ツルグミ Elaeagnus glabra Thunb.
蔓茱萸 グミ
撮影日 2010.11.6
撮影場所 田野町

 
新潟・福島県以西~四国~九州、沖縄、台湾、朝鮮半島南部~中国に分布するという常緑蔓性の木で、宮崎でも珍しくはないがナワシログミほど多くはない。
 逞しい蔓になって葉の裏が赤褐色をしているグミは他に無いので判りやすいが、厚くてしっかりした葉だけを見る限りはグミのようには見えない。
 命名者のチュンベリーはナワシログミなどグミ類の5種に適切な種小名をつけているが、ツルグミについてはちょっと意外な、無毛を意味する「glabra」とつけているのは、鱗状毛が取れた後の成葉の表面に着目したのだろうか。
 蔓は小枝で周囲の植物に引っ掛かりながら高く大きく長く成長して基部は幹となる。
画像1 斜めに垂れた花枝を下から見上げた画像。花は地味で目立たない。 グミについてはアキグミを参照
画像2 右手の樹に纏わり登って伸ばした枝が大きくなり重みで垂れ下がった。
    撮影:(2010.11.6 田野町
画像3 年数が経った蔓は手首の半分ほどもある太さになって四方に枝を広げる。
    垂れ下がった蔓から分枝した小枝の腋から出た花。花は下向きに咲く。
撮影:(2009.11.21 三股町
画像4 花のように見えるガク筒は葉腋から3~8個ほどが垂れ下がってつく。花弁はない。
撮影:(2009.11.21 三股町
画像5 ガク筒は先が浅く4裂して外に広がって差し渡し9ミリほどになる。オシベ4個は外に突き出ない。
撮影:(2009.11.21 三股町
画像6 (長さ)花柄は約3ミリ、子房部は約2ミリ強、ガク筒部は約5ミリ、裂片の深さ約2ミリで、全体が鱗状毛に覆われる。 撮影:(2010.11.3 田野町 画像7 ガク筒を縦に裂くとガク筒の底部から伸びているオシベが見える。メシベ花柱は少し長い。
撮影:(2009.11.21 三股町
画像8 ガク裂片を1つ取り去るとオシベ、メシベが見える。これは未だ若い花でメシベはオシベより短い。
撮影:(20101.11.3 田野町
画像9 つぼみの拡大画像で、中心部が盛り上がった鱗状毛が全体に散らばっているのが見える。
撮影:(2010.11.6 田野町
画像10 ガク筒についた鱗状毛を爪で掻き落として見た画像。
   鱗状毛はごく小さくて画像も不明瞭で測定も困難。
撮影:(2010.11.6 田野町
画像11 互生する葉は上面が艶のある濃緑色で無毛。(若葉時の銀色の鱗状毛は後で取れる)
  卵状長楕円形で長さ7.5cm前後、先は細長く尖るが幅ともに変化の幅が大きい。 
撮影:(2010.11.3 田野町
画像12 葉の下面は普通一面に赤褐色の鱗状毛が密生して独特の色に反射する。
撮影:(2010.11.3 田野町
画像13 下面に密生した鱗状毛を爪で掻いて、葉の緑色が見えるようにした。 鱗状毛中心は濃い赤褐色。撮影:(2010.11.3 田野町
画像14 小枝も、長さ1cm弱の葉柄も密生した鱗状毛に覆われている。撮影:(2009.11.21三股町 画像15 枝は刺状に出るがやがて葉が出て普通の枝になる。 撮影:(2010.11.3 田野町
画像16 長さ1.8cmほどの果実(正確には偽果)は長楕円形で先端に裂片の閉じたガクをそのまま残して垂れ下がる。 撮影:(2005.5.4 西米良村 画像17 偽果(果実を中に含んだ多肉性のガク等に包まれた果実)の表面は小さな銀褐色の鱗状毛で覆われている。 撮影:(2005.5.4 西米良村
画像18 古い枝は灰黒色で硬く鱗状毛は落ちて表面はやや平滑。撮影:(2010.11.3 田野町 画像19 太い幹は縦に裂け目が入ってコナラの樹皮に似る。撮影:(2019.11.21 三股町
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