FILE NO 558 宮崎と周辺の植物
アケビ Akebia quinata (Thunb.) Decaisne
木通 アケビ科
撮影日 2006.10.9
撮影場所 延岡市

 ミツバアケビと違って北海道には自生しないとされるが、山野で広く見られる蔓植物。
 ミツバアケビと比べて果実の大きさや味について多くのの説があるが、「球磨の植物民俗誌」(乙益正隆著、地球社、1978年)には、熊本県球磨地方では、アケビをアオジ、アオアケビ、ミツバアケビをアカジ、アカアケビなどといい、よりアケビの方言が多いのは美味しくて親しまれたからではという意味の記述がある。
 味や大きさ、色は自生地の環境等による変化が大きい。
画像1 道脇の高さ3mほど樹を独占して葉を広げ、長さ12cm以上もある果実を付けたアケビ。 アケビはアケビ属で、同じ科でもムベはムベ属になる。
画像2 コンビニまで車で5分の農村の道横の藪、枝や葉で丸天井風に覆われた葉陰に、
       外からは見えにくいが目を凝らしてみると、葉の隙間から下がった果実が見える。
撮影:(2006.10.15 宮崎市)
画像3 長さ約10cmの果実。蔓が5cmついた果実の重さは約70グラムあった。
撮影:(2006.9.24 高千穂町)  
画像4 果皮は普通淡紫灰色で薄い青班がある。ミツバアケビほどには遠くから目立たない。
撮影:(2006.10.15 宮崎市)
画像5 4個ついた果実の基部、太い蔓にしっかり固定されて簡単には取れない。
撮影:(2006.10.14 都農町)
画像6 葉陰に熟すからか、意外と鳥などに食べられないまま種子が残っている果実も多い。
撮影:(2006.10.9 延岡市)
画像7 淡緑色のすっきりとした5枚の小葉の間から、長い花序が垂れ下がって、
      大小のピンクの玉が風に揺れ、フジとはまた違った山野の春が感じられる。
撮影:(2006.3.19 宮崎市)
画像8 花は雌雄同株、葉腋から垂れ下がる花序に、まず軸に鋭角に雌花の柄が伸びて、
      枝別れした花序先端に雄花が2〜3個つくが、雌花の花柄が長くて5cm近くにもなる
  ので、メバナの方が下に垂れ下がって見える。撮影:(2006.3.19 宮崎市)
画像9 新葉と葉腋から垂れ下がった花序。メバナの花柄は花序軸に鋭角に出る。(ミツバアケビは直角)  撮影:(2004.5.2 五ヶ瀬町) 画像10 花序の枝が多くぎっしりと垂れ下がったオバナ。オシベは6個、2個づつの葯がバナナ状に見える。  撮影:(2004.5.2 五ヶ瀬町) 
画像11 オバナは花弁はなく、長さ7ミリほどのガク片3個とオシベ6個、花の直径は1.5cmほど。
撮影:(2006.3.19 高千穂町)
画像12 オシベ中心部にはメシベの痕跡が残っており、この画像では黄色く見えている。
撮影:(2006.3.19 宮崎市)
画像13 メバナのメシベは円柱状で3〜9個、花弁のように見えるガクは2cm近くもあって大きい。
花は直径3cmほどにもなる。
撮影:(2006.3.19 宮崎市)
画像14 メバナのガク片を一部取り除いた画像、メシベ基部にはオシベの痕跡が残り、メシベの柱頭は粘液物質を出している。
撮影:(2005.4.23 高千穂町)
画像15 葉は互生、5枚の掌状複葉で全縁、無毛で形や大きさは変化が多い。
撮影:(2006.10.14 都農町)
画像16 特に若い葉は幅の2倍以上も長くなるものもあり、小葉柄も3cmにもなるものもある。
撮影:(2006.10.14 都農町)
画像17 小葉の先は浅く窪む。古い小葉はやや硬くなる。  撮影:(2006.10.13 宮崎市) 画像18 葉の下面、明確な脈があり、葉身基部は節状になる。  撮影:(2006.10.13 宮崎市)
画像19 10cmにもなる長い葉柄は基部が膨らんでいる。 撮影:(2006.10.13 宮崎市) 画像20 右巻きの蔓は籠などに編むが、ミツバアケビに劣るという。 撮影:(2006.10.13 宮崎市 )
画像21 長さ12cmほどの果実の種子は171個あったが、扁平な形が多いミツバアケビに比べ形の変化が多い。 撮影:(2006.10.9  延岡市 ) 画像22 形が様々で、落とすと予想もしない方向へばらばらに転がってゆく。長さ約5ミリ。 
撮影:(2006.10.13 延岡市)
画像23 (参考)ゴヨウアケビの花序。
撮影:(2004.5.1 高千穂町)
画像24 (参考)ゴヨウアケビの雌花と雄花。
撮影:(2004.5.1 高千穂町)
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