FILE NO 170 宮崎と周辺の植物
クサイチゴ Rubus hirsutus Thunb.
草苺 バラ科
撮影日 2009.3.8
撮影場所 川南町

 クサイチゴというが落葉性の低木で、古くから藪苺、早稲苺、鍋苺など多くの名で親しまれ食べられてきたイチゴ。
 日本では本州〜九州に自生しているが、バラ科キイチゴ属のイチゴは世界の北半球を中心に約700種あって、花よりは食べる果実として利用され、様々に栽培されてきたようだ。
 枕草子に出てくるのはヘビイチゴとナワシロイチゴとされているが、クサイチゴも多分縄文の時代から食べられてきたと思われる。   
画像1 直射日光の当る道脇の藪にも日当たりの悪い樹林下などでも見られる野イチゴの代表的イチゴで、古い世代にとっては懐かしい。
小学校時代、この時期には学校の帰り道にクサイチゴを腹一杯食べた後、空の弁当箱にぎっしりと詰めて帰ることが多かった。
子供の頃はナガバモミジイチゴよりはクサイチゴの方を良く食べた気がするが、手が届く関係もあったのだろうか。
画像2 枝分かれした高い茎でもせいぜい50cmほどの半低木だが、草苺と
      呼ぶに相応しい樹形で、早春の里山を歩く時の足元に普通なイチゴ。
 撮影:(2009.3.8 川南町)
画像3 果実は赤い球形で、他の野イチゴ類に比べてやや水っぽさがあるものの
      甘さがあり、群生しているので掌に集めてまとめて味わうことができる。
撮影:(2005.5.7 宮崎市 )

画像4 上向きに開く花弁は5で花冠の大きさは4cmほどで平開する。花弁の形は変化が多い。
撮影:(2007.4.20 野尻町)
画像5 メシベは多数あって球状になり基部は短い柄になる。オシベは多数が花弁に沿って開く。
撮影:(2008.3.20 宮崎市 )
画像6 ガク片5は卵状披針形で先が長く伸びて腺毛が目立つ。  撮影:(2008.3.20 宮崎市) 画像7 蕾。花柄にもガクにも赤紫色の腺毛が密生する。 撮影:(2005.4.23 北方町)
画像8 開きかけた蕾。中に真っ白の花弁が折りたたまれている。 撮影:(2005.4.23 北方町) 画像9 葉は3〜5小葉となり側脈が大きく刻まれて皺状になる。 撮影:(2008.3.20 宮崎市)
画像10 葉縁は重鋸歯となって両面、葉柄ともに毛や腺毛が多い。 撮影:(2008.3.20 宮崎市) 画像11 葉の下面。明確に浮き出た太い脈にはトゲが見える。  撮影:(2008.3.20 宮崎市)
画像12 軸と主脈にあるトゲは小さいが茎と同様に鋭く尖っている。  撮影:(2008.3.20 宮崎市) 画像13 軟毛と腺毛がある茎のトゲは鷹の嘴状に尖っている。 撮影:(2008.3.20 川南町)
画像14 果実は多数のメシベが熟して約1cmほどの球状に赤熟する。 撮影:(2005.5.7 宮崎市) 画像15 熟した果実をもぐと白い果托部が残って離れ、窪みができる。 撮影:(2005.5.7 宮崎市)
トップへ 科名リストへ