FILE NO 303 宮崎と周辺の植物
ナワシログミ Elaeagnus pungens Thunb.
苗代茱萸 グミ
撮影日 2007.11.10
撮影場所 木城町

 
本州伊豆半島から西、四国、九州と中国大陸揚子江以南に分布するという常緑性の低木で、宮崎でも沿海地に多く他のグミ類に比べ目にする機会は一番多い。
 和名は苗代作業の頃に赤く熟して食べられるからで、似たような時期に熟して子供達に親しまれたツルグミ
マルバグミもあるが、田畑の周辺で普通にあることから名付けられたと思われる。
 ただ味は悪くはないが、グミ類の中で刺が多くてしかも枝が混み合うのがこのグミの特徴で、枯れた後の枝の始末にも困るほどの堅くて鋭い刺には注意が必要。
 学名の「 pungens」も刺針のある・・という意味なので、命名者のチュンベリーも刺の鋭さに注目したことが分かる。
画像1 海傍の荒地にも多いのは根粒菌で空中窒素を固定するからという。 グミについてはアキグミを参照
画像2 樹形は、基部から分枝した多くの枝が不規則な分枝を繰り返しながら
        長く伸びた枝を互いに絡ませるなど、時に蔓状にも見えるほど入り組む。
        この株は他物に絡まず上に伸びた自然形だが枝は複雑に絡んでいる。
    撮影:(2010.12.7 宮崎市
画像3 果実は複雑に入り組んだ横枝や小枝からぶら下がるが遠くからは分からない。
         近寄ると葉の落ちた枝先にガク筒残骸が先端に残ったままの果実が確認できる。
撮影:(2010.3.22 宮崎市
画像4 花弁はなく、花柄先の子房先端が細まって繋がった長さ7ミリほどのガク筒の先が花弁状に4裂、全体に鱗状毛がある。 撮影:(2007.11.10 木城町 画像5 ガク筒は緩やかな4稜があり、高さ3ミリほどの裂片は卵状三角形。オシベ、メシベはガク筒裂片に達する。 撮影:(2010.11.15 宮崎市
画像6 ガク筒裂片前方から見た先端部。オシベは4個で、中央のメシベが見える。
撮影:(2007.11.10 木城町
画像7 ガク筒を一部破った画像。ガク筒内部から伸びたオシベよりやや長いメシベが見える。
撮影:(2007.11.10 木城町
画像8 果実は長さ1.5cmほどの長楕円形で、ツルグミに似ているが果皮の鱗状毛が目立つ。
撮影:(2003.4.6 西米良村
画像9 (参考)ツルグミの果実。長さ1.8cmほどとやや大きくて果皮が滑らかなに見える。
撮影:(2005.5.4 西米良村
画像10 太枝から不規則に出た枝が刺状の小枝をつけて蔓状に長く伸びて葉を広がる。
撮影:(2001.10.14 宮崎市
画像11 (成葉)互生する葉は革質で長さ14cm(葉柄1.8cm)ほどにまでなり、縁は波うって裏側に反る。 撮影:(2007.11.10 木城町 画像12 鱗状毛が取れて硬く光沢のある上面。 葉柄の鱗状毛は取れない。葉の形や大きさは変化が多い。
撮影:(2007.11.10 木城町
画像13 葉の下面は銀白色の鱗状毛が密生して汚れたような黄白色に見える。主脈が隆起する。
撮影:(2007.11.10 木城町
画像14 成葉の下面を覆った小さな銀褐色の鱗状毛と散生する褐色の鱗状毛。主脈には褐色の鱗状毛が密生。 撮影:(2010.12.8 宮崎市
画像15 展開してすぐの若い葉の上面は銀白色の鱗状毛が密生して黄白色に見える。
       展開する以前の小さい葉は枝と同様に褐色の鱗状毛に覆われて褐色に見える。
撮影:(2010.11.15 宮崎市
画像16 画像15の葉の成長とともに鱗状毛も成長して大きくなるが数が減り、やがて全部取れてしまう。
撮影:(2010.11.15 宮崎市
画像17 画像16の鱗状毛の近接画像。大きさの測定はできないが個数は数えられそう。
撮影:(2010.11.15 宮崎市
画像18 葉のつけ根から出た刺。硬くて鋭い刺の長さは葉柄程度で約1.8cm。 撮影:(2007.11.10 木城町 画像19 まだ若い樹の幹。皮目と刺があり、縦のひび割れの兆候が見える。 撮影:(2010.11.15 宮崎市
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